
警備員は誰でも、なれる
・・・と言った世間のイメージから警備員の面接も「誰でも受かる」と思われがちです
しかしながら、私も経験しましたが、そんなに面接は簡単ではありませんし、前職調査・身元調査に関しては、むしろ他の業種よりも厳しいと言えます
この記事では実際の面接で聞かれる質問と、それに対する模範解答を深堀していきます
警備員の面接は誰でも受かるの?
警備員は本当に「誰でも受かる」のか?
結論から言うと、「誰でも受かる」というのは間違いであり、誤解です。
確かに門戸が広い側面があるのは事実ですが、警備員になるためにはクリアすべき条件や、採用担当者が見るポイントが明確に存在します。
では、なぜ「警備員の面接は誰でも受かる」と言われるのでしょうか?
警備業界の現状と人手不足
2025年現在、警備業界は慢性的な人手不足に直面しています。
特に、大規模イベントの増加や施設の多様化により、警備員のニーズは拡大しています。
この人手不足の状況が、「誰でも受かる」という誤解を生む一因となっています。
今、開催されている大阪万博も余り知られていませんが、開催地の大阪だけでは警備員の数が全く足りずに全国から警備員が派遣されているのが現実です
多くの警備会社が積極的に採用活動を行っており、未経験者や異業種からの転職者にも門戸を広げているのですが、それでも需要に供給が追い付かないのが警備業界の実情なのです
ですから「警備員の面接は誰でも受かる」と言う「意味合い」が世間で思われているもとは掛け離れているのが現実です
警備業法に定められた「欠格事由」
警備員として働くためには、まず「警備業法」に定められた欠格事由に該当しないことが大前提となります。
意外にも、この欠格事由に該当する人が多いのです
当然ながら欠格事由に該当する人は面接は必ず落ちますので注意が必要です
主な欠格事由は以下の通りです。
- 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
- 特定の組織的な犯罪に関与した者
- 暴力団員または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
- 薬物(麻薬、覚せい剤など)の中毒者
- 精神機能の障害により警備業務を適正に行うに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者
- 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
この中で一番多いのは「自己破産」している人です(復権していれば可)
これは居住地の役所で、調べられます。
採用において重視されるポイント
欠格事由に該当しないことは最低条件ですが、それに加えて企業が重視するポイントは以下の通りです。
- 健康であること、体力があること: 警備の仕事は、長時間立ちっぱなしの勤務、巡回、夜勤、屋外での業務など、肉体的な負担が大きい場合が多いため、健康状態は非常に重要視されます。
- 責任感と真面目さ: 人の命や財産を守るという重要な任務を担うため、与えられた職務を最後まで責任を持って遂行できる真面目さが求められます。
- コミュニケーション能力: 施設利用者や通行人との簡単なやり取り、同僚や上司との連携、報告・連絡・相談など、円滑なコミュニケーションは必須です。
- 危機管理能力と冷静な判断力: 予期せぬ事態が発生した際に、慌てずに冷静に対応し、適切な判断を下せる能力が求められます。
- 基本的な社会人マナー: 挨拶、言葉遣い、身だしなみなど、警備員として施設の顔となるため、基本的なビジネスマナーは必須です。
これらの点から、「誰でも受かる」というよりは、「欠格事由に該当せず、警備員として必要な基本的な資質と働く意欲があれば、採用のチャンスは十分にある」というのが実情に近いでしょう。
警備員フリーターでも面接は受かる?
結論として、フリーターの方でも警備員になることは十分に可能ですし、多くの警備会社で歓迎されています。
警備業界は、年齢や学歴、職歴よりも、人柄や意欲を重視する傾向が強いため、フリーターであるという経歴が不利になることはほとんどありません。
フリーターが警備員に受かりやすい理由
警備業界がフリーターの採用に積極的な背景には、いくつかの理由があります。
- 年齢・学歴不問の求人が多い: 警備の仕事は、特定の専門資格が必須ではない場合が多く(入社後に取得するものがほとんど)、学歴やこれまでの職務経歴よりも、基本的な資質や働く意欲を重視します。
- 多様な勤務形態への対応力: フリーターとして様々なアルバイトを経験している方は、シフト制勤務や不規則な時間帯での勤務に慣れていることが多く、警備業界の勤務形態に適応しやすいと評価されます。夜勤や土日祝日の勤務も多いため、そうした勤務に対応できる人材は重宝されます。
- 体力・時間の融通が利きやすい: 若いフリーターであれば体力面でのメリットがありますし、特定の時間帯での勤務など、時間的な融通が利きやすいことも企業にとっては魅力です。
- 真面目さや安定志向のアピール: 長く安定して働きたいという意欲がある場合、それを面接でしっかりと伝えれば、企業側も安心して採用に踏み切ることができます。
フリーターが面接でアピールすべきポイント
フリーターの経歴を強みとして活かすために、面接では以下の点を積極的にアピールしましょう。
- 責任感と真面目さ: これまでのアルバイト経験で、任された仕事を最後までやり遂げたエピソードや、時間厳守・ルール順守といった真面目な姿勢を具体的に伝えます。
- コミュニケーション能力: 接客業の経験があれば、お客様とのコミュニケーションやクレーム対応の経験をアピールできます。警備員は、施設利用者や通行人と接する機会が多いため、こうした経験は強みになります。
- 体力と健康: 警備の仕事は立ち仕事や巡回が多く、体力が必要です。日頃から運動していることや、健康に自信があることを伝えると良いでしょう。
- シフトへの柔軟性: 不規則な勤務や夜勤にも対応できることを積極的に伝えます。「どんなシフトでも対応可能です」という意欲を見せることで、採用担当者に好印象を与えられます。
- 警備員としての志望動機: なぜ警備員として働きたいのか、なぜこの会社を選んだのかを具体的に伝えます。社会貢献したい、安定した仕事に就きたい、責任感のある仕事がしたい、など、ポジティブな理由を述べましょう。
フリーターであることは決してハンディではありません。
むしろ、これまでの経験から得た強みを警備の仕事にどう活かせるかを明確に伝えられれば、採用にぐっと近づくことができます。
警備員の面接で聞かれること
警備員の面接では、一般的な転職面接で聞かれる内容に加えて、警備業務特有の質問をされることがあります。
ここでは、特に聞かれやすい質問とその意図、効果的な回答のポイントを解説します。
志望動機
- 質問例: 「なぜ警備員になりたいのですか?」「なぜ当社を志望されたのですか?」
- 意図: 警備業務への理解度、入社への本気度、自社への適性を見極める。
- 回答のポイント:
-
- 警備業務への関心: 社会貢献したい、人の役に立ちたい、安全を守る仕事に魅力を感じた、などポジティブな理由を具体的に述べる。
- 会社への理解: 応募企業の事業内容、理念、強みなどを事前に調べて触れる。「貴社の○○という取り組みに魅力を感じました」など。
- 自分の経験との結びつき: これまでの経験(接客、体力、責任感など)が警備の仕事にどう活かせるかを具体的に示す。
- 安定性: 「安定した環境で長く働きたい」というのも立派な志望動機ですが、それだけではなく、警備業務そのものへの関心も示しましょう。
自己PR・長所・短所
- 質問例: 「あなたの長所と短所を教えてください。」「自己PRをお願いします。」
- 意図: 応募者の人柄、自己分析能力、警備員としての適性を見極める。
- 回答のポイント:
- 長所: 警備員に必要な特性(責任感、注意力、真面目さ、忍耐力、協調性、体力、冷静さなど)をアピール。具体的なエピソードを交えると説得力が増します。
- 短所: 業務に支障がない短所を選び、それを改善しようと努力している姿勢を見せる。「心配性ですが、その分入念な確認を心がけています」など。
- 自己PR: 自身の強みが警備業務でどのように活かせるかを簡潔にまとめる。
健康状態・体力について
質問例: 「健康状態はいかがですか?」「体力に自信はありますか?」「夜勤は問題ありませんか?」
意図: 警備業務に必要な身体的条件を満たしているかを確認する。
- 回答のポイント:
- 「健康状態は良好です。普段から運動もしており、体力には自信があります。」と明確に伝える。
- 持病がある場合は正直に伝え、それが業務に支障をきたさないことを説明するか、医師の許可がある旨を伝える。
- 夜勤や不規則なシフトにも対応できることを具体的に伝える。
前職の退職理由
- 質問例: 「前職を退職された理由を教えてください。」
- 意図: 退職理由から応募者の価値観、ストレス耐性、トラブルへの対処方法などを探る。
- 回答のポイント:
- ネガティブな理由を避ける: 前職の不満や悪口は絶対にNGです。
- ポジティブな理由に変換: 「新しい分野に挑戦したかった」「キャリアチェンジを考えていた」「より安定した環境で働きたかった」など、前向きな理由を述べる。
- 学びや反省を示す: もしネガティブな要素があったとしても、「前職での経験から学び、今後はこのように活かしたい」と、成長意欲を見せる。
シフト・勤務時間に関する希望
- 質問例: 「希望の勤務地や勤務時間はありますか?」「夜勤や残業は可能ですか?」
- 意図: 会社の求める勤務形態と、応募者の希望が合致するかを確認する。
- 回答のポイント:
- 可能な限り会社の希望に合わせる姿勢を見せる。「特に希望はありません。会社の指示に従います。」と伝えるか、対応可能なシフト範囲を明確に伝える。
- 夜勤や残業も可能であれば、その旨を伝える。
ストレス耐性・危機管理に関する質問
- 質問例: 「ストレスを感じた時にどう対処しますか?」「予期せぬ事態が起きたらどうしますか?」
- 意図: 警備業務で遭遇するであろうストレスや緊急事態への対処能力を見る。
- 回答のポイント
- ストレス解消法を具体的に述べる。
- 緊急時の対応については、「まずは冷静に状況を把握し、マニュアルに沿って行動します。必要であれば上長に報告・連絡・相談し、指示を仰ぎます」といった、組織行動を意識した回答が良いでしょう。
面接は、自分をアピールする場であると同時に、企業とのミスマッチがないかを確認する場でもあります。
正直かつ誠実に、そして警備員としての意欲と適性を伝えることが重要です。
施設警備員の面接は厳しい?
「施設警備員の面接は特に厳しい」という話を耳にすることがありますが、これは一概には言えません。
私は東京都内の工場で施設警備をしていますが、その現場では募集するのは3年ぶりだったのです
つまり、施設警備の場合は(時と場合によりますが)募集は交通誘導の警備と比較して少ないです
また、求められるスキルや人物像が他の警備業務と異なるため、その点で「厳しい」と感じる人がいるのは事実です。
良く「コミュニケーションが下手」だから警備員に、なりたいとの人が居ます
しかしながら施設警備員の場合は「コミュニケーション力」が無ければ仕事は出来ません
下記に書いている通り、一番大事なのは「コミュニケーション力」と言えます
施設警備員に求められる特性
施設警備員は、オフィスビル、商業施設、病院、学校、イベント会場など、多種多様な施設に常駐し、不審者の侵入警戒、巡回、受付・出入管理、鍵の管理、防犯カメラの監視、緊急時の対応などを行います。
この業務特性から、以下の点が特に重視されます。
- 高度なコミュニケーション能力と接客マナー: 施設の「顔」として、利用者や来訪者と直接接する機会が多いため、丁寧な言葉遣い、笑顔、分かりやすい説明能力が求められます。クレーム対応や道案内なども日常的に発生します。
- 状況判断能力と臨機応変な対応: 施設の規模や特性によって、巡回中に異常を発見したり、予期せぬトラブルが発生したりすることがあります。マニュアル通りではない判断が求められる場面も多く、冷静に対応する力が重要です。
- 注意力と観察力: 防犯カメラの監視や巡回業務において、小さな異変を見逃さない集中力と観察力が必要です。
- 責任感と正確性: 鍵の管理や出入管理など、厳密な業務が多く、責任感と正確な作業が求められます。
- 基本的なPCスキル(一部): 報告書の作成や監視システムの操作で、WordやExcelの基本的なスキルが求められる場合もあります。
施設警備員が「厳しい」と感じる理由
- 求められるスキルの幅広さ: 単に体を動かすだけでなく、接客、事務処理、判断力など、多岐にわたるスキルが求められるため、応募者によってはハードルが高く感じられることがあります。
- 施設の「顔」としての役割: 大手企業のビルや商業施設など、来訪者の多い場所では、警備員がその施設のイメージを左右するため、より高いレベルの対応が求められます。
- 大手警備会社の採用基準: 大規模な施設を多く担当する大手警備会社の場合、採用基準が厳しく、競争率も高くなる傾向があります。
施設警備員の面接突破のポイント
- 接客経験のアピール: 飲食店、販売店、オフィスワークなど、顧客対応の経験があれば積極的にアピールしましょう。「お客様と接することが好き」「丁寧な言葉遣いには自信がある」といった具体的な表現で伝えます。
- 責任感・真面目さのエピソード: これまでの職務で、責任を持って業務を遂行した経験や、正確さを心がけたエピソードを具体的に話します。
- 危機管理意識: 「もし不審者を見かけたらどうしますか?」といった質問に対して、「まず冷静に状況を確認し、応援を要請します。その後、マニュアルに沿って適切な対処を行います」など、具体的な対応方法を説明できるように準備しておきましょう。
- 志望動機の具体性: なぜ施設警備員になりたいのか、その施設で働くことにどのような魅力を感じるのかを具体的に述べます。「この施設の安全を守りたい」「来訪者に安心感を与えたい」など、施設警備ならではの視点を盛り込むと良いでしょう。
施設警備員の面接は、確かに特定のスキルが問われますが、それは「厳しい」というよりも「求められるものが明確」という方が適切かもしれません。
前職の調査は、されるの?
多くの警備会社では、入社希望者の前職調査を積極的に行うことは稀です。
しかし、全く行われないわけではありませんし、警備業法に基づく身元確認は必ず行われます。
前職調査が稀な理由
- 個人情報保護の観点: 企業の採用活動において、応募者の前職に問い合わせを行うことは、個人情報保護の観点から非常にデリケートな問題であり、原則として本人の同意なしには行われません。
- 手間とコスト: 前職調査には手間とコストがかかるため、多くの企業が全ての応募者に対して実施するわけではありません。
- 面接での確認が主体: 多くの企業では、面接での対話や提出書類(職務経歴書など)を通じて、応募者の経歴や人柄を確認することを重視します。
ただし、以下の場合は注意が必要です
- 不審な点がある場合: 職務経歴書の記載内容に不審な点がある、面接での話と食い違いがあるなど、虚偽の申告が疑われる場合には、企業が事実確認のために問い合わせを行う可能性はゼロではありません。
- 特定の重要ポストや契約の場合: ごく稀に、特定の重要ポストや、取引先の契約上、厳格な身元確認が必要とされる場合に、応募者の同意を得て、限定的に前職調査が行われることがあります。しかし、これは一般的なケースではありません。
警備業法に基づく「身元確認」は必ず行われる
前職調査とは別に、警備業法により、警備員を採用する際には必ず「欠格事由に該当しないこと」を確認する必要があります。
この確認のために、以下の情報提出が求められます。
- 本籍地記載の住民票の写し: 暴力団員等に該当しないかなどを確認するため。
- 身分証明書(本籍地の市町村が発行する「身分証明書」): 破産者で復権を得ていない者に該当しないかなどを確認するため。
これらの書類提出は義務であり、採用の合否に関わらず、警備員として働く上で必須の手続きとなります。
これらの情報から、過去の犯罪歴や破産歴などが明らかになる場合があります。
経歴詐称は絶対にNG!正直に話すべき理由
前職調査が稀だからといって、経歴を詐称することは絶対にやめましょう。
- 発覚した場合のリスク: 虚偽の申告が発覚した場合、採用取り消しや、入社後であっても懲戒解雇の対象となります。これは今後の職歴にも大きな傷を残し、再就職が極めて困難になる可能性があります。
- 信頼関係の崩壊: 警備の仕事は、顧客や同僚との信頼関係が非常に重要です。嘘をついて入社した場合、万が一発覚した際に、その信頼関係は崩壊し、業務に支障をきたす可能性もあります。
- 欠格事由の確認: 特に警備業法で定められた欠格事由に該当するにもかかわらず、それを隠して応募しても、身元確認の段階で必ず発覚します。
短期間での離職やブランクがある場合でも、正直にその理由を伝え、今回の警備の仕事への意欲や、これまでの経験から学んだことをアピールすることが重要です。
誠実な姿勢は、採用担当者に好印象を与え、信頼を築く上で最も効果的な方法です。